NFTとは?その仕組みや使われ方を分かりやすく解説
2022.05.06
NFTというキーワードを最近よく見かけるようになりました。
そのきっかけとなった出来事の1つに、2021年3月に海外のオークションサイトで約75億円もの金額で落札されたデジタルアートがあります。
このデジタルアートはNFTアートと呼ばれ、仮想通貨のブロックチェーン技術を使用し、改ざん不可能で識別可能なコードが付与されます。
そのため、デジタルアートそのものの唯一性が証明でき、デジタルアートそのものに価値づけできる仕組みを取り入れています。このアートと仮想通貨技術の融合が注目され、多くのメディアでNFTという言葉を見かけるようになりました。
この話だけでも、アーティストや投資家の方々は魅力的で可能性がありそうな投資分野と思ったのではないでしょうか?
この記事では、NFTについて詳しく解説します。
NFTとは?
NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で、非代替性トークンのことです。
冒頭で登場したNFTアートとは、このNFT技術とデジタルアートを掛け合わせた作品を指します。
NFTは、仮想通貨と同様にデータ管理にブロックチェーン技術が用いられます。そのため、デジタルデータそのものが、鑑定書・所有証明書付となるので、改ざん・偽造ができない仕組みになっています。
今までの一般的なデジタルデータは、簡単に改ざんができるものだったので、多くの海賊版が出回り、資産価値を持たせることは難しいと考えられていました。しかし、NFTの誕生と共に、デジタルデータそのものに価値を持たせることができるようになったのです。
NFTは仮想通貨に新たな可能性をもたらすだけでなく、さまざまなジャンルのアーティストや投資家などにもチャンスを与えてくれる存在となることが期待できます。
NFTの特徴・仕組み
NFTの特徴や仕組みを分かりやすく説明すると以下のとおりです。
・NFTは、非代替性トークンのこと
・識別子をもつため唯一無二のコンテンツ作成が可能
・仮想通貨技術を用いているため改ざん不可能
・作成者・所有者を記録できる
それぞれの特徴や仕組みを詳しく見てみましょう。
NFT=非代替性トークン
非代替性トークンとは、ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位のことです。
そのため、NFTは、画像・動画・音声、その他の種類のデジタルファイルなど、容易に複製可能なアイテムを一意なアイテムとして紐づけることができるので、所有権の公的な証明を提供することが可能です。
NFTは唯一無二のコンテンツ作成が可能
NFTは基本的にイーサリアムのブロックチェーンを使用します。
イーサリアムはヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称です。このプラットフォーム内で使用される仮想通貨をイーサ(英: Ether、単位: ETH、イーサリアム )といいます。
イーサリアムのブロックチェーン技術には、個々のデジタルデータに識別可能なコードを付与できる「ERC-721」という仕組みがあります。
この仕組みを用いることで、今まで不可能であったデジタルファイルなどに固有のものとして識別させて価値を持たせることができるようになりました。
そのため、NFTを用いることで唯一無二のコンテンツ作成が可能となったのです。
NFTは改ざん不可能
仮想通貨で用いられているブロックチェーンは、取引履歴(ブロック)が暗号技術によって過去の取引から1本の鎖のようにつなげる形で記録される仕組みとなっています。一つのブロック(取引履歴)は、合意された取引記録の集合体と、各ブロックを接続させるための情報(前のブロックの情報など)で構成さるため、各ユーザーが共有する形で管理することができます。
全てのユーザーが各取引履歴を共有しているため、ある取引について改ざんを行おうと思っても、それより新しい取引についてすべて改ざんしていく必要があります。1人がデータを編集しても簡単に不正を見つけることができてしまうので、ブロックチェーンは、データの破壊や改ざんが極めて難しくほぼ不可能な仕組みになっています。
また、そのままでも高いセキュリティを確保しているブロックチェーンですが、「スマートコントラクト」や「コンセンサスアルゴリズム」などの技術を組み合わせることで更に高度なセキュリティ体制を確保できます。
NFTは作成者・所有者を記録できる
NFTは、ブロックチェーン技術を用いているため、作成したものに対して追加でさまざまな情報を記録できます。
これができることにより、デジタルデータで作成されたものが本物であると証明したり、購入者を記録し所有者を明確化したりできます。
作成者や所有者など追加したさまざまな情報もブロックチェーン上で管理されるので、改ざんやデータ破壊はできません。
NFT化が進められている人気コンテンツ
高額な取引が成立し話題となっているNFTアートですが、NFT化が進められているのはアートの分野だけではありません。
2022年に入り多くの分野でもNFT化が進み、現在では以下のコンテンツでNFT化が加速しています。
・デジタルアート
・ゲーム
・トレーディングカード
・音楽
・デジタル上の土地の売買
・チケットの売買
・ファッション
・漫画
・スポーツ
・映像
各分野それぞれがNFTに紐づけることで「誰に売ったのか」、「誰が所有者なのか」を明確化できるだけでなく、他人がなりすますことができないメリットや唯一の価値として流通させることができるようになります。
NFTで収益を得る方法
NFTで収益を得る方法は大きく分けて3つあります。
・NFTマーケットで売買する
・作成したコンテンツをNFTに紐づける
・NFT関連の仮想通貨で値上がりを狙う
NFTマーケットで売買する
NFTは基本、NFTマーケットで売買できます。
NFTの取引が可能な取引所に口座を開設し、購入したNFTが値上がりしたところで売却することで利益を得ることができます。
NFTマーケットについては「(内部リンク)こちら」で詳しく解説しているので合わせて確認してみてください。
作成したコンテンツをNFTに紐づける
アートや音楽、漫画など自分でコンテンツを作成してNFTに紐づけることで売却益を得ることができます。
今まで自分で作成した作品をTwitterなどでただ公開していた人などは、NFTに紐づけるだけで収益を得えられる可能性もあります。
NFT関連の仮想通貨で値上がりを狙う
仮想通貨の中にはNFT関連銘柄が存在します。必ずしも今後価格上昇するとは言い切れませんが、徐々にNFT銘柄も増えてきているので、値上がりを期待して持っておくのも良いです。
NFT の買い方・購入方法
資産としての価値が高く、将来性のあるNFT。どのように購入したら良いかについて解説します。
購入までの基本的な流れは以下のとおりです。
1.仮想通貨取引所でアカウントを作成
2.仮想通貨取引所でウォレットを作成
3.ウォレットにNFT売買に必要な仮想通貨を送金
4.NFTマーケット(プラットフォーム)にログイン
5.希望のNFTを購入する
以上が基本的な流れとなります。
NFTは、基本的に イーサリアム という仮想通貨にて売買されるので、日本円に対応した「Coincheck 」や「 bitFlyer 」など、任意の仮想通貨取引所でアカウントを作成しておきましょう。
作成するウォレットは、日本語サービスに対応している「MetaMask(メタマスク)」が日本人にはおすすめ。ウォレットに入金する通貨はNFTマーケットで一番メジャーなOpenSeaで通貨として採用されているイーサリアムがおすすめです。
ですが、2022年1月現在、NFTを取り扱うプラットフォームが徐々に増えおり、仮想通貨の保有は一切不要で、NFT転売時にも継続して著作者に報酬が入るロイヤリティ機能を搭載、さらにすべて日本円で完結し、日本円で継続報酬が入る「NFT発行・販売・転売マーケットHEXA(ヘキサ)」という新サービスも誕生してきているのでNFT の売買方法もいろいろと増えてくるのではないかと予想ができます。
NFT の出品・販売方法
NFT の出品や販売方法の基本的な流れは買い方・購入方法と同じです。
ただし、イーサリアムブロックチェーンを利用しているオープンマーケットは、契約時にガス代(イーサリアムを使うときに必要となる手数料)が発生するので覚えておきましょう。
NFTマーケットプレイス出品する手順は以下のとおり。
1.仮想通貨取引所でアカウントを作成
2.仮想通貨取引所でウォレットを作成
3.ウォレットにNFT売買に必要な仮想通貨を送金
4.マーケットプレイスで出品するNFTアートの販売条件を入力
5.出品するNFTをマーケットプレイスにアップロード
また、NFTを販売して得た仮想通貨を日本円に換金するためにも、国内仮想通貨取引所に口座を開設しておくようにしてください。
NFT のメリット・デメリット
NFTの概要がわかったところで、NFTのメリットとデメリットも見ておきましょう。
NFT のメリット
NFTのメリットは主に以下の3点が挙げられます。
・唯一無二の価値を持たせることができる
・誰でも売買可能
・価値が上がる可能性があるので資産価値もある
NFT のデメリット
NFTのデメリットは主に以下の3点が挙げられます。
・NFTマーケットの手数料が高い場合がある
・法的に未整備
・価値が低下し資産価値がなくなる可能性もある
NFT の期待値・将来性
NFTは今後どれほど期待できるのか、将来性について見てみましょう。
NFT市場の拡大
デジタルアートをブロックチェーン上で扱うことで「唯一性」を付加することができるNFTアート。
NFTデータサイト「NonFungible」によると、2020年第4四半期のNFT取引高が約1億ドルだったのに対し、2021年第1四半期のNFT取引高は約20億ドルと、わずかな期間で20倍に拡大。
デジタルアート市場すべてでNFTを活用することができるようになれば、さらにその規模を拡大することができると考えられます。
まだNFTマーケットプレイスを利用していないアーティストが多いので、今後NFTの知名度が上がると共に市場規模も拡大されていくのが予想できます。
さまざまなものがNFT化される期待
NFTは、アートや音楽以外にも、デジタルデータであればすべてモノに対して価値を付けて取引できると言えます。
実際あった事例で説明すると、ひとつのTweetが291万ドル(約3億1500万円)で販売されたことがあります。
これは、2021年3月22日に、大手SNS「Twitter」の共同開発者兼CEOのJack Dorsey氏が、自身が投稿した最初のTweetをNFTにして売買したときの金額です。
今まで価値がないと思われていたものに対しても価値を持たせることができるようになったので、今後さまざまなものがNFT化されて売買される期待ができます。
NFTとメタバースの融合
NFTと同様にメタバースも今注目されている分野の1つです。
メタバースの先駆けともいえる仮想空間「Second Life(セカンドライフ)」は、世界中のユーザーが第2の人生を過ごせる仮想都市として米Linden Lab(リンデン・ラボ)が造り出した仮想空間です。
「Duran Duran」がこの仮想世界でバンドライブを行い、ラジオが中継しながらアバターがアバターにインタビューするといった出来事や、中国人女性がわずかな元手で土地の売買をし、1億円以上稼ぐといった出来事、日本人でも購入した土地をレンタル化し月に100万円以上稼ぐといったこともありました。
2007年頃日本で空前のブームとしてNTT DoCoMoやTOYOTAなど各大手企業が参入し注目を浴びました。
この世界にあるほとんどのモノはユーザーが作り出したもので、ネット内の仮想空間で、土地を買い、モノを作り、販売する。そこで稼いだお金(L$リンデンドル)は現金化することができるとして多くのクリエイターも参入しました。
しかし、ブームは1年ほどで過ぎ、参入した大手企業も撤退。2022年現在のアクティブユーザー数は多くて5万人ほど。
ユーザーが離れてしまった原因はいろいろと考えることができますが、その1つに求められるパソコンのスペックが高すぎたことが挙げられます。その世界に降り立っても、スペックが足りず、画面はカクカクで操作性が悪く、その時点で諦めてしまった方も多く存在しました。しかし、時代の経過とともに、一般的に購入できるパソコンでもCPUやGPUの性能が上がりそういった問題も解消されています。
何を言いたいのかというと、セカンドライフは「早すぎたメタバース」だったということ。
NFTが存在し、今のパソコンスペックでセカンドライフができていたらと考えると、可能性は無限大です。
NFTでの土地の売買、土地に置くためのクリエイターが作成した家や装飾品などのNFT化、更に家の扉や家具、乗り物を動かすためにプログラマーが作成するScriptのNFT化…など、さまざまなことが想像できます。
既にメタバースとNFTが融合したものも登場してきています。今後、メタバースもどんどん新しいものが登場してくるはずなので、メタバースやゲームなどとNFTが融合し、いろんな可能性を生み出してくれるのではないかと予想しています。
NFTのまとめ
NFTは仮想通貨に唯一無二の名義を付加することにより、持ち主を明確することができる、画期的なテクノロジーです。
今まで不可能と言われていたデジタルデータによる作品を安全に流通させることができるようになったので、今後市場拡大していくことは間違いないと言えます。
そのため、今後の投資先としての価値は十分にあるのではないでしょうか。